2011年05月16日

opium(オピウム) の禁断の花園

昨日の日曜日のお昼ごろ、「東京薬草植物園」に行ってきました。
西武新宿駅から40分ほどの「東大和市駅」で下車してすぐ目の前にあります。

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入るとすぐに埋もれてしまいそうなぐらいのカモミール畑がありました。
大変な花数なので、風に揺れる度にカモミールティーの薫りがしてきます。

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池にはカキツや睡蓮、コウホネ、水生の植物が整然と並べられています。

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そして今日の本丸、「ケシ・アサ試験区」に向かいます。
この試験区は日本で栽培が法律で禁止されている種類のケシの花が栽培されています。
この一画だけは厳重に2重の柵で囲われています。そして高い柵のうえには有刺鉄線が張られています。危険な薫りにわくわくしてきます。

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このケシの開花の限られた季節だけ、2重の柵の外側が開放されて、1重の柵から花を見ることができるのです。その中でもこの週末はその柵の中のケシの花が満開の貴重な日でした。
ケシは開花してから2〜3日ほどですぐに花びらが落ちてしまうのです。

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柵にはいると豪快に咲き誇るケシの花畑が目の前に広がります。
土の栄養がよくて丁寧に栽培されている為か、茎も太くて高さも1m以上もあります。

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白いケシの花なんて思わず息をのんでしまうほど妖艶な美しさを湛えています。
風に揺れる様は夢の世界にいるように引き込まれます。

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ここが畠の一番左端です。
左端には白いケシの花が咲いています。

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この柵の中で管理されているケシは「ソムニフェルム」種という仲間がほとんどです。

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栽培が禁止されているケシはアヘンが採れる種類なのですが、基本的な見分け方としては茎のところ、葉の付き方から分かるそうです。

ポピーといえば、花殻とか茎の部分が毛ばだっているイメージですが、禁止されている品種はこんな風に茎はつるつるして無毛のものが多く、毛があってもきわめて少ないそうです。

この白い大輪のケシは「一貫種」といって、昭和の初めに日本で改良された種類です。
日本でも以前は栽培が禁止されていないときがありました。
一貫とは明治から昭和の初めまで商取引で使われていた重さの単位ですが、約3.75kgを意味します。ケシの畑の単位となる広さから(何uだったか忘れましたが)から約4kgのアヘンが採取できるとても効率のいい品種なそうです。
日本人ってやらせると、なんでも改良する技術はすごいですね。

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そして見分けるポイントその2は葉の付き方です。
禁止されている品種は葉柄がなく、葉が茎を包んでいるような付き方をしています。
そして葉の縁の切れ込みも浅いです。
通常流通しているケシは葉もギザギザしています。

また葉の質感も蝋質を帯びた白っぽい緑色をしています。

野菜のような葉の付き方だから、もしケシの花にこんな葉が付いているのを見かけたら、きっと違和感を覚えると思います。

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そしてその白いケシの隣にある品種は海外で園芸品種として改良された種類です。
イギリスなどでは園芸植物として扱われていることもあるそうなのですが、日本では規制の対象になっているので、たとえ観賞目的といっても栽培することは禁止されています。

八重のケシなんて素晴らしいですよね。
印象派の画家の絵の中にありそうな姿形です。


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このケシの色あいも何ともいえないです。
この種類は「アツミゲシ」といって、もともとは北アフリカ原産の1年草でしたが、愛知県の渥美半島に帰化して大繁殖したのが由縁です。
繁殖力が強いので今でも日本で空き地などで生えることがあるそうです。
この花もやはり麻薬の原料になるモルヒネを含有しているため「アヘン法」によって栽培が禁止されています。

綺麗な色なのにもったいないですね。

この種類は「セティゲルム種」といってソムニフェルム種に比べて小さいです。
ソムニフェルム種は草丈が100〜150cm程度、セティゲルム種は30〜100cmといわれます。

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この濃い色あいは主にトルコで多く栽培されている品種なそうです。
花が終わったあとの果実の部分を「ケシ坊主」とよばれていますが、通常縦長の形が多いですが、この種類の果実は横長の扁平な形です。

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週末の2日間だけ、お昼の1時間、専門の先生からケシのミニ講座をきくことができます。
(先生、顔をこんなにしてしまって、ごめんなさい。。。)

アヘンを撮るのはこの果実の部分からで、その実を引っかくそれ用の特別なナイフがあります。
そのナイフで縦に引っかき傷をつけていきます。
すると、そこのひっかいたところから白い液体がじわじわと滲んできます。それがモルヒネです。

先生だけ柵の中にいて、見学の人達の柵の前にいる人は順番にその匂いをかませてくれました。
嗅がせてもらった人によると、青臭い草の匂いで、ケシだから特別どうという感じではなかったといってました。その汁を舐めそうになる人もいたみたいで、先生が、「舐めてしまうと、法に触れてしまいます」と注意してました。

因みに横長の形の果実には横に引っかいていくそうです。

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そしてケシの畠の横にある地味な葉が、「大麻草」なそうです。
最初の子葉からどんどん3から5へ、5から7へと葉の切り込みが増えていって、7どまりになるという説明を受けました。大麻は4〜5月ごろから芽を出し始め、7月には1〜3mほどに成長するとのことでした。

先生の説明に使ったケシの果実は畠の横に3mほどの深く掘られた穴の中にその後捨てられました。
国内で通報されて確保したケシの花などはこの穴の中に全て処分されるそうです。


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禁断の柵から出て、和やかな雰囲気の「植えてもよいケシ」の畠を見学です。
黒い文様が花びらにある「モンツキヒナゲシ」。

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背の高さがあって、こんなにたくさん咲いていると丘の上ひなげしの花のイメージそのものですね。

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この花はまさに今の季節道端で良く見かけます。
「ナガミヒナゲシ」です。
茎や蕾に毛が生えていて、葉にも葉柄があり、葉も深く切れ込みがあります。
OKですね。

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こちらは房総の花摘みなどでもおなじみの「アイスランドポピー」です。

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カリフォルニアポピーです。「ハナビシソウ」とも呼ばれてます。

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ポピーの畠から離れて、様々な花の畠を歩きます。
特に華やかだったのが、「ジギタリス」の花。
この花も有毒物質を含んでいて、ドラマなどでも話のネタに使われる花材です。
強心薬の薬効もありますが、子供などが誤って花をかじったりすると死にいたる場合もあるので危険です。

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この黄色い花も「ジギタリス」です。
見事な色あいです。
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この花はアレンジメントのレッスンでもこの季節によく利用する「センダイハギ」です。
マメ科の花で、藤の花によく似ていいます。

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翁草が種になった姿で立ち尽くしていました。

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興味深かったのがこちらの草「麻黄」(マオウ)です。
重症の花粉症もちの私がよくお世話になっている漢方「小青竜湯」(しょうせいりゅうとう)の成分に必ず含まれています。喘息やその他のアレルギー症状を抑える働きがあります。

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シャクヤクやボタンの花もこれから咲く準備をしていましたし、山桜の立派な木もありました。
温室にはイランイランやバニラ、カカオの木があったりと、「薬草植物園」という名前から名前も知らない地味な草がたくさん生えているような印象があったのですが、そこはよく見聞きする花がほとんどでとても楽しめました。

去年の春、調度この頃、東京の花卉市場で、禁止されているケシの花が出回り、小売店で普通に販売されているのをたまたまこのケシのミニ講座を聞いていた方が、ここで見かけた花に似ているのを発見し通報後、撤収されることになったそうです。


ケシの種自体は販売が禁止されていないので、海外からか入手した生産農家の方が植えてみて、ケシの専門家の方に確認した際に禁止されている品種ではないという判断をいただき、生産出荷が始まったそうなのです。なので、厳密なところでは禁止品種かそうでないかは専門家の方でも花事典の花の写真や知識だけではなかなか正しい判別が付かないぐらい難しいそうです。

お見合い写真とかもそうだと思いますが、写真で見るのと実際咲いている姿を見るのとでは、ずいぶん受ける印象が違いますから、咲いている姿をこうしてリアルタイムで見学できるのは大変貴重でありがたいことです。

見学の方は熱心に質問などをしていらしてまさに薬物Gメンの助っ人風情です。


見学に来ている方も男女比も半々ぐらいで若い男性の方もたくさんいらしているのも驚きました。
お花を好きなのは男も女も、若いも年取っていることも関係ないのだなぁ、と嬉しく感じました。


禁止されているケシが見れるのは都内でもここだけなので、新聞では「秘密の花園」と紹介されたそうです。

ケシの花の開花はとても短いですが、まだ1週間は柵も開放されていますし、お花も見頃です。

私も季節を変えてまた是非出かけてみたいです。




posted by ミルフルール・フラワーデザイン at 10:37 | TrackBack(0) | Flower Lesson
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